1月に読んだその他の本 「AI時代の憲法論」「鳥居の密室」ほか

1月に読んだけれど、記事をたてていなかった本をまとめて紹介します。(今回は3冊)

「AI時代の憲法論」木村草太、佐藤優、山川宏(と、「AIと憲法」)

本書はどうも2017年に行われた対談・シンポジウムがもとになっているようで、中心となるトピックもその時期のものになっています。また、タイトルにあるような憲法論はあまり登場せず、時事問題についての各著者のかたの意見表明がメインとなっています。タイトルのような内容を期待して読んだので、個別のトピックにはあまり興味を持てなかったというのが正直なところです。

 

他方、AIと憲法について中心に論じた本としては山本龍彦編の「AIと憲法」があります。

こちらの書籍を読んでいて印象に残った点は、仮にAIが司法手続きをつかさどるようになった場合、それはいかにして正当化されるかという問題であったり(手続だけですべては正当化されるのでしょうか?)、ユーザー個人の嗜好にあわせたサービスの発達につれて、ユーザーの類型化は実質的に個人を特定してしまうのではないか、という問題などが検討されている点です。

「AIと憲法」はAIが発達した未来社会SFを読むような気持でも読めますし(またSFを構想する際にも参考になると思います)、純粋に思考実験としても面白いです。テーマに興味があればおすすめです。

「鳥居の密室」島田荘司

1960年代に発生した密室事件に御手洗潔が挑む、というもの。素直に面白いです。

密室のトリック自体はなるほどね、というふうなものですが、何よりストーリー展開が巧みです。何人もの思惑が重なり、通常ありえないような奇妙な結果が発生する、ということ自体はよくある筋ですが、本作は事件が解かれなかった理由も含めて納得がいくようにかかれていますし、サンタクロースというテーマとも響き合います。

ストーリーがよかったです。司法制度の問題点を指摘する社会派的要素は、過去作でもありましたが、本作でも後半で登場します。

「憲法ガール2」

(H29までの) 司法試験憲法の問題は、まず事案が与えられて、そこに登場する当事者の主張反論という形式で、憲法論を書かせる、というものでした。

たとえばH18の問題を簡略化して紹介しますが、タバコには「あなたの健康に害を与える恐れが~」式の警告文があります。これをより「きびしく」したものをパッケージに記載することを義務付ける規則ができたとします。その結果として売り上げが減少したと主張する事業者は、どのような訴訟を起こしどのような主張をおこなうべきか、また、これにたいして国側はどう反論すべきか、などを検討させるわけです。

こういうとき、思考過程がわからないと応用がきかないので、思考過程をを小説形式にしたて、登場人物にそれぞれの当事者の立場をうけもたせることで、問題の解き方をわかりやすく伝える、というコンセプトの元つくられた小説が「憲法ガール」であり、本書は近年の試験問題をカバーした続編です。きわめて参考になります。内容的には、出題形式が変更されたH30の問題までフォローしていました。物語はというと色々ビターです。

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